南北戦争の背景
南北戦争の背景は、建国以来拡大し続けた北部と南部の利権対立だ。
北部は商・工・農業がバランス良く発達したが、
南部は綿花栽培農業が経済基盤だった。
北部は地域内だけで経済が成り立ったが、南部は外国との貿易に依存していた。
金融や関税等の政策を巡って、南部と北部が真っ向から対立した。
人口と州の数が北部優勢になったので、多数決では南部の意見が通らなくなった。
奴隷制は、切実な経済問題だった。
綿花栽培は人手が必要で、綿花価格を抑えるには奴隷労働に依存せざるを得なかった。
一方の北部は機械化の恩恵を受け、奴隷労働が必要な労働環境ではなかった。
「奴隷制は取り除くべき害悪」と考える心のゆとりがあった。
南部の支配層は、自分たちの新しい国家を建設するしか生き残る道はないと考えたのである。
彼らの精神状態は、日本が生き残るためにはアジアへ侵略するしかないと考えた軍部エリートと似ている。
南北戦争戦争から50年後、アメリカは第一次世界大戦という経験を通して、未曾有の強国に成り上がる。