アメリカの国是
アメリカ合衆国初代大統領は、言わずと知れたジョージ・ワシントンである。
英雄的な業績とは対照的に、彼は控え目な人柄で、調整能力に長けた人物だった。
結びつきが弱く、事実上外国同士のような13州を民主的にまとめるには、
カリスマ的指導よりも、各州の利害を調整する能力が必要だったのである。
ワシントンが大統領に就任して間もない1789年に、ヨーロッパではフランス革命が始まり、欧米の勢力分布が揺れ始める。
ワシントンは、どの勢力にも味方せず中立の立場を表明する。若いアメリカを不必要な危険から守り、国内の地盤を固めることに力を注ぐことを選んだ。
ワシントンによる中立路線は、1823年の[モンロー宣言]によって完成される。
中南米で植民地独立運動が活発化したので、ヨーロッパの野心が再びアメリカ大陸へと向けられた。
アメリカはヨーロッパ大陸の出来事に干渉するつもりはないし、ヨーロッパがアメリカ大陸に手出ししたら許さないという「相互不干渉」の外交スタンスである。