ゼロから学ぶアメリカ合衆国

ゼロから学んだアメリカ合衆国をわかりやすく説明

独立宣言

第五部の内容で誰でも知っている語句といえば、「ワシントン」と「独立宣言」だろう。1776年7月4日に起草され、この日が独立記念日となっている。「すべての人間は平等であり、自由・幸福を追求する権利があり、何人たりともそれを妨害する権限はない」という趣旨の前文が有名である。

何の法的拘束力もない宣言だが、要は植民地の権利を妨害した本国は、我々を統治するには値しない存在となった。だから新しい政府を作って独立するんだということである。悪いは政府を廃して、新しい正義を樹立する権利という、一種の革命思想である。高尚な文言は、アメリカ人のアイデンティティそのものであり、往々にして暴走する。軍事的・経済的に外国を侵略する際にも我田引水でこの原則を持ち出し、外国人と外国政府を勝手に裁き、警察官として行動する。宣言当時の原住民や黒人はどうだったのか?と問い質しくなるが、アメリカ人にとって先住民は「野蛮・原始的かつキリスト教を受け入れない存在」で、人間とカテゴライズするには値しないものだった。

のちに第3代大統領になるトマス・ジェファソンが原稿を作成し、彼は黒人奴隷の開放を明記していた。しかし、奴隷制があまりにも深く南部社会に組み込まれていたため、南部の離脱を恐れたジョン・アダムス(のちの第2代大統領)がこの部分を削除させた。黒人奴隷の身分はあくまで「奴隷」であり、合衆国「市民」ではないという詭弁によって、問題はその後もあいまいにされる。

独立宣言の起草には合衆国2,3代目の大統領がかかわっているが、ワシントンは一切関与していない。

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