ゼロから学ぶアメリカ合衆国

ゼロから学んだアメリカ合衆国をわかりやすく説明

大衆政治へ

 1829年に第7代大統領に就任したアンドリュー・ジャクソンは、14歳で孤児になるが、米英戦争セミノール戦争で戦功を立てた国民的英雄だった。無学で貧しい庶民の代表だった。かつての政治はエリートのものだった。例えば大陸会議のメンバーは無給のボランティアだった。生活基盤があってこそ、政治に利害を持ち込まない高潔なスタイルを実現できると考えた。モンロー大統領までのいでたちは、カツラをかぶって短パンを履く貴族スタイルだった。大統領選挙も、アダムズJr.の代までは議会の秘密会合で候補を指名していたが、ジャクソンの時は党大会で指名するというオープンなものに変わった。

ジャクソンは大統領の権限を大いに強めた。「戦利品システム」と呼ばれる、大統領選挙で自分を支持した人間を内閣のみならず役人全般にまで起用する、連邦政府公務員の私物化を実施した。大統領の拒否権行使も、以前は憲法に抵触する議決に対してだったが、彼は自分の気に食わない法案にも次々と行使した。その姿は、民衆の求める強いリーダーそのものだった。一方では、小さい政府を信念とし、連邦政府の赤字を出さないなど、画期的成果を残している。軍人時代の先住民虐殺も凄かったが、1830年に「先住民移住法」を実施し、未開の西部へ追放したのもジャクソンである。

 

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