ゼロから学ぶアメリカ合衆国

ゼロから学んだアメリカ合衆国をわかりやすく説明

ルイジアナ購入と西部開拓

1801年、トマス・ジェファソンは第3代大統領として就任する。彼はワシントン政権下では国務長官、アダムス政権下では副大統領として入閣したキャリアがあった。彼は「独断」で様々な決断を下した最初の大統領である。その最たるものが、フランス領ルイジアナの購入である。

合衆国物流の3/8はミシシッピ川の水運に依存していたが、建国以来ミシシッピ川西岸とニューオリンズ港はスペイン領だった。アメリカ船の航行の自由とニューオリンズ港で関税をかけないことが保障されていたが、1800年に野心的なナポレオン率いるフランス領となると状況は変わる。戦争好きで領土的野心の強いフランスの脅威を感じる中、1803年4月にナポレオンからルイジアナ購入が打診される。ナポレオンの気が変わる前に、この千載一遇を逃してはならなかった。外交官ジェームズ・モンローを介して条約をジェファソン個人の資格で批准し、事後に国務長官憲法への造詣が薄い議会へ通したのである。新領土から太平洋までの探検についても、個人の裁量で行う。これを機に、大統領の権限は徐々に拡大していく。

イギリスとスペインへの危機感が探検へと駆り立てた。両国の領土に無断侵入して国際問題へと発展するリスクを厭わなかったが、太平洋を経由して中国まで通じる貿易ルート(水運)を発見する目的は達成できなかった(急峻なロッキー山脈を越えるのは現実的でないことが判明した)。しかし、西部への関心を国民に植え付ける面では成功し、領土拡大と西部開拓は、以後アメリカ国民の関心事となる。

 

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